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子供には練習より試合をさせるという理論
指導者により、「試合よりも練習だ」という人と「練習よりも試合だ」という人がいます。
これは、人にはいろんな考え方があり、一概にどちらが正しいとは言えないと思います。
ちなみに私は後者です。
私も初めは練習をやらないと試合に出ても何も出来ないし勝てない。
まず第一に練習だと思っていました。試合に誘われても断るほうが多かったです。
しかし、ここ数年で考え方が変わりました。
それはどういう事かと言うと、8歳から10歳位までの子供は楽しくないと
真剣にサッカーに取り組まないからです。
ボールタッチ、ドリブルやターン、パスの基礎練習は、大切ですが飽きてしまいます。
集中力がすぐに途切れてしまうのは、子供ですから仕方のない事です。
そこで途切れないようにゲーム的な要素も取り入れて練習メニューを組みます。
それでもなかなか身につかないのは、限られた仲間との環境の中で
上に行く子は決まってしまうし、未熟な子は、努力する術もなく、諦めてしまう事が多い。
この諦めてしまう子をどうしたら何くそと思わせるかが指導する上で根気のいる事であり、悩み所です。
また、上手な子がそれ以上伸びたいと願ってもある程度チーム内で上にいってしまうと
限られた中での反復練習には限界があります。もっと高い目標を与えなければ
伸びる芽を摘んでしまうかも知れません。
上手な子も普通の子も未熟な子も同じ練習をするのですが、
どうしてこの練習が大切なのか理由を教えてあげなければなりません。
理由は言葉で教えるよりも簡単な方法があります。
それは【試合】です。
試合は普段のチーム内での仲良し同志とは違う見知らぬ相手と競うわけです。
未熟な子は技術や能力の差を感じ、努力しなければいけないんだという事を
身を持って実感できます。
上手な子は、上には上がいるということを知り、もっと上手くなろうとします。
そして何より大切な集団の中で皆を引っ張るリーダーシップを磨く事にも繋がります。
サッカーはチームプレイ、自分1人では勝てない。なら、味方をどう使うか?
ピッチの中で、そしてピッチを出た時に大切な事を学びます。
指導する側としてもベンチワークや選手にかける言葉の選び方、采配の仕方、
保護者との接し方など、チームの中での配慮やリーダーとしての役割を学ぶ事ができます。
また他チームとの情報交換や見識を広める事にも繋がります。
親も自分の子の試合を間近で見て喜んだり、頑張れよと励ましたり、
他の子や他のチームに比べて我が子がどうなのか所属するチームの力はどうなのか、
現実を知る良い機会です。
子供も親にカッコいい所を見せようと普段以上の力を出します。
試合に勝てば勝利の喜びを知り、また絶対に勝ちたいという欲が出ます。
負ければ涙を流し、悔しさを知り、次のステップへの大きなバネになります。
勝ち負けが子供の眠っていた闘争心を目覚めさせるのです。
私は1試合ごとにテーマを決め、出来たこと出来なかったことを整理して
試合後に反省会をし、じゃあ、次はどうしたらいい?とひとりひとりの意見を求めます。
この反復をその日一日繰り返します。
試合での良かった所、悪かった所をチェックし、次の練習に活かすのです。
試合をしてやっと子供たちは退屈な練習がなんの為なのか、理解する事に繋がるのです。
闇雲にメニューを組んでやってもなんにもなりません。
試合で出来なかった事、ひとりひとりの弱点をひとつひとつ課題にし、
皆が出来るようになるまで何度でもやって克服して行くのです。
上手な子の弱点、未熟な子の弱点をみんなでやることにより、弱点が少なくなっていくと思います。
この【試合】→【練習】→【試合】→【練習】・・・・
という流れを繰り返す事でより大きく成長するのではないかと思うのです。
要するに【練習】は【試合】で相手よりいいプレイをするためにやるのだという考え方を植え付けるのです。
元日本代表監督であるオシム氏の言葉にもあるように
「試合は最高の練習である」は、本当にその通りだと思います。
これからもこのポリシーを貫き、子供たちと一緒に成長していければと思います。