とうとうお別れをする時が来ました。
チームにとって君はいつの間にか大きな存在になっていました。
君がK.F.C.に入ってきたのはまだお姉ちゃんのコリンネちゃんが6年生の頃だったから、今から約3年前。
母国ボリビアの闘争本能むき出しのサッカースタイルをお行儀の良い日本のサッカースタイルに合わせるのは大変だったことでしょう。
身体が小さい頃から大きく、その身体で猛烈にスライディングタックルしてくる、金色の髪で目が青色の君に、日本の子たちは泣き出したり、逃げ出したり、周りの大人も驚きを通り越して時には怒っていましたね。
しかし、君の根がとても素直だったことが功を奏し、すぐに日本のプレースタイルに修正してくれました。
それからというもの、チームにとって君の力は精神的にも肉体的にも強大な力をもたらしてくれました。
どんなに体の大きく強い相手でも容易に攻め込ませない君の鉄壁とも言える身体を張ったディフェンスは、世代を越えて皆に勇気を与えてくれました。他のチームも一目おいていたのは大人の目にも明らかでした。
特にここ一年は得点力もあがり、Soutaの良きライバルとして活躍してくれましたね。
ずっと考えていた事があります。
日本人と外国人は、同じ地球上に生まれて、同じ空気を吸い、手も2本、足も2本、
それなのにどうしてこんなにも違うのだろうと。
バネというか、瞬発力、身体の中で特に「筋肉」の「質」が違うように思います。
同じトレーニングを繰り返すと、日本の子どもは、なかなか飲み込めない子が多いので何度も勤勉に繰り返します。
逆に外国(特に南米)の子は何をやらせても簡単にマスターしてしまうので、すぐに飽きて手を抜きます。
だからと言って日本人の子より劣ることなどありません。
そして試合になると眠っていた本能が目を覚まします。
一度スイッチが入ると野獣のような闘争心でボールを追うのです。
なんというか、「スピリット」が根本的に違うのです。
動物で例えるなら、日本人は柴犬で、南米の子はライオンのようです。
負けない。勝ちたいという気迫が身体中から伝わってくるのです。
試合ともなれば、家族、親類総出で応援に来る。それも日本人には無いところ。
お父さんがよく言ってました。ボリビアでは「ファミリー」の結束力が日本のそれとは格段に違うものだと。日本人は、少し、冷めていると。
誕生会にしても日本は家族で祝うのが普通だけど、君の誕生会は、日本で言う結婚式のようでしたものね。
親戚、友達、友達の家族まで呼んで歌や踊りやら大量の肉やらママの手作りの大きなケーキを囲んで盛大に行うパーティ。
そういうサッカー以外での家族の繋がりや考え方を君に接した大人や子供たちが体感出来たことは、貴重な財産です。
監督として君に接することの出来た、この何年かは僕も本当に充実していて楽しかった。
メダルや賞状をいっぱい貰って結果を残せたことが全てを物語っている。
普段、勝ち負けを気にせず良いなどと教えていた自分が、考えを少しずつ変え、勝ちにこだわったここ何年かは、君の存在によって考え方が変わったと言っても良い。
人間、結果が残せれば、それは「勇気」「エネルギー」そして「パワー」となり、益々、上を目指そうと努力するようになる。結果が全てではないけれど、結果はとても重要なのです。
そんな単純明快なことが、いろんな柵から表に出して言えなかった自分は指導者として未熟であったと思うのです。
君がみんなに勇気や力を与えたことが形になって残ったことは君の功績です。
いなくなってしまうのは、本当に辛いけど、いつか何処かで会える日を楽しみにしています。
南米にいつか行ける日を楽しみに、これからもサッカーに関わっていきたいと思います。
頑張れ ヨシロー
【執筆途中につき乱文をご容赦下さい】
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