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「子を叱るのは親の責任」世界遺産の神社に置き紙 ネットに共感の声、書いた神職の思いとは
withnews 11月11日(水)14時16分配信
世界遺産にも登録されている京都の「宇治上神社」。この神社が作った参拝者向けの紙が話題になっています。「小さなお子様をお連れの親御様へ」と題したメッセージ。内容についてネット上では「当然のこと」「ここまでの注意書きが必要とは」といった声が上がっています。神職はどんな思いで書いたのか? 話を聞きました。
【写真】神社に置かれた紙の全文。「〝お客様は神様〟の自論は通用しません。本当の神様は目の前に…」
A4サイズの1枚の紙
神社建築では日本最古の本殿がある宇治上神社。お守りなどが並んでいる棚のあたりに、神社の説明文などとともにA4サイズの紙が置いてあります。そこには、こう描かれています。「ここは神社です。皆様が心を静めてお参りをされる場所です。テーマパークでもファミリーレストランでもありません。サービス業ではないのです。『お客様は神様』の自論は通用しません。本当の神様は目の前においでです。当然、不敬な行動は叱ります。親御さんがお子様をしっかり御監督なさって下さい。お子様を叱るのは、親の責任ですし、親が不行き届きで、周りの人に叱っていただいたなら、逆切れではなく、『ありがとうございます』です。自分本位な考えの大人になられないように、正しい教育で共にお子様の健やかなる成長を見守りましょう」
ネット上の反応は
この貼り紙に対して、ネット上では以下のような声が上がっています。「まったくもってその通り」
「全参拝者が読むべき」
「当たり前のことを掲示しなければいけない悲しさ」
「神社にこんな貼り紙がしてあるって本来異常なことだよね」
「神社だけでなくサービス業の店員であっても注意すべきだと思う」書いた神職に聞きました
この貼り紙、どんな思いで書かれたものなのか? 神職の片岡剛さんに話を聞きました。――書いたきっかけを教えてください
「世界遺産になってから参拝者も増えています。そんな中、私たちが子どもを注意すると、逆にその親から苦情を言われるケースが増えてきたためです。他の参拝者のためにも、守っていただきたい一般的なことを書きました」
――どんな思いを込めたのでしょうか
「子どもの頃にやりたいことをやって、そのまま大きくなったら大変なことになりかねません。子どものうちに、しっかりと親や周囲の大人が教えることが必要だということが伝わればと思っています」
――文字の色やフォントを変えたり、「お客様は神様」という表現を引き合いに出したり、工夫されていますね
「当たり前のことを当たり前に書いても読んでもらえないと思ったからです。気にとめてもらえないし、堅い内容だと読むのがしんどくなりますから。ただ、この紙は神社の紹介文などと一緒に置いてあるもので、大々的に訴えているわけではありません」
――「神社に限らず、世間一般に当てはまる指摘だ」といった声もあります
「子どもたちは宝です。健全に育つように周りの大人が見守っていける、そんな社会であったらいいなと思います」
「子は親の鏡」と言われます。
親が気づかなくても子どもは常に親の行動や小さな仕草、言葉を通し、こういう場合にはこういう振る舞いをすべきなのだということを学習しています。
小さい頃から親が手本となるような行動や言動をしていれば、物心がつくころにはそれほど世間を逸脱した行動は取らないでしょう。
ですが、子どもですから羽目を外す時もあります。大きな心で許してあげることも必要です。
しかし、場所をわきまえないといけないということは教えてあげないといけません。
核家族が増えた今の世の中では、おじいちゃんやおばあちゃんに会うのは盆と正月というのも珍しいことではありません。私が小さい頃は、祖父母と一緒に暮らしていましたので、甘やかされもしましたが、悪戯ばかりして叱られることもしばしばありました。
両親よりも祖父母といる時間のほうが圧倒的に長かったと思います。
核家族化した現代においては、共働きの家庭が多く、子どもにとって大切な時期に躾がままならなくなっていることも確かです。
子どもにとっては、正直、可哀想な環境だと思います。じいちゃん、ばあちゃんもたまにしか会えなければ、余計なことを言って孫がなつかなくなるのを嫌うということもあるでしょう。
核家族化は一方でこういう矛盾を生んでいます。
この神主さんは、よくよく考えたうえで、この張り紙をしたものと思います。
子どもは良くも悪くも親によって変わります。特に幼少期の環境に大きく左右されます。
まずは親がしっかりと見本を示し、子どもを温かく、時に厳しい目で見つめてあげることが必要なのです。
と同時に周りの大人達も見て見ぬふりをせず、ほめてあげる、時には注意してあげる、そんな社会を作っていくことがこれからの日本には求められているのだと思います。